中央化工機株式会社 - CHUO KAKOHKI CO., LTD.

粉体処理装置では、運転中に接粉部材が摩耗し、その成分が粉体中へ混入する可能性があります。
本記事では、乾燥機の摩耗試験として、装置通過後の粉体中に含まれるステンレス由来成分をICP-AESにより分析し、コンタミ量を評価した事例を紹介します。

【背景】

粉体処理工程において、装置接粉部の摩耗により、機械部材由来成分が粉体中へ混入する可能性がある。本装置の接粉部にはSUS材が使用されているため、本試験では、装置通過後の粉体を対象に、SUS由来成分の混入量を評価した。評価対象元素は、SUSの主要構成元素であるFe、Cr、Niとした。

【概要】

SiO2粉体を対象とし、未処理の原料粉体ならびに各機械で処理した粉体を分析試料とした。乾燥機については、乾燥操作ではなく、乾燥品を装置内で48時間流動化させた粉体を分析対象とした。

<SiO2粉体:計3試料>

  • 未処理の原料粉体
  • ADS-40型撹拌乾燥機で処理した粉体
  • VH-25型振動乾燥機で処理した粉体

※ADS-40型撹拌乾燥機は横方で真空式の撹拌乾燥機

各粉体試料を王水で浸出し、得られた浸出液をICP-AESで測定することにより、Fe、Cr、Niを分析した。

【実験】

1. 摩耗試験条件

摩耗試験は、試験粉体としてSiO₂粉体を用い、各装置に所定量を充填して、大気圧、常温下で48時間運転することにより行った。

試験粉体条件を表Aに、装置および運転条件を表Bに示す。

表A 試験粉体条件

表B 装置および運転条件

2. 前処理(王水浸出)

各粉体試料を50 mLポリエチレン製遠沈管に約1.0 g量り取り、王水(1+1) 5 mLを加えた。
超音波処理時間は30分間とした。
その後、超音波洗浄機で処理し、金属成分を浸出させた。
浸出後、水25 mLを加えて攪拌し、遠心分離を行った。
得られた上澄み液をICP-AES測定用試料とし、Fe、Cr、Niを測定した。

3. ICP-AES測定

ICP-AES測定はSII製SPS3520を用いて行った。

分析対象元素および測定波長は、Fe:238.204 nm、Cr:267.716 nm、Ni:221.647 nmとした。

測定により得られた各元素濃度について、浸出操作により試料中の対象元素が全量酸溶出したものと仮定し、粉体試料中のコンタミ量(質量%)として換算した。

※2. 前処理(王水浸出)および3. ICP-AES測定は、名古屋市工業研究所に依頼して実施した。

【結果】

分析結果を下表に示す。SiO₂の乾燥処理後における金属元素濃度を確認した結果、ステンレス由来成分であるFe、Cr、Niの検出量はいずれも低濃度であった。以上より、本試験条件において、乾燥処理に伴う装置摩耗による金属コンタミは少ないと考えられる。

なお、電池材料用途など高度なコンタミ管理が求められる場合、本試験結果のみで要求レベルへの適合を保証するものではない。必要に応じて、接粉部へのテフロンコーティング等により金属コンタミ低減に対応可能である。

QL:Quantitative Limit(定量下限)
ND:Not Detected(検出限界未満 / 検出せず)